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自分たちは小売業である

日経新聞のリアル版を取らなくなってもうだいぶ経ちます。
ネット版だけにするといくつか問題があります。
それは、1面をちらっと見て最終面もついでに見るという習慣がなくなったことが代表例です。

こうなったことで、日経新聞の「私の履歴書」欄をどなたが書いているのかわからないで過ごすことになってしまいます。
今月の「私の履歴書」がニトリの似鳥社長だと知ったのは今日です。
これはネット版の便利さですが、さっそくバックナンバーから読んでみた次第です。

その中で、似鳥さんが安さ追求を怠るまいと奔走していたことを知り、自分が営む中古マンション事業に通じるものがあるなと感じた次第です。
ACSではそもそも中古マンション事業を「投資」というスコープで見ていましたから、実は自分たちが「小売」をやっているという認識はありませんでした。
すると、どうなったかでいうと、積み上げ算で「売りたい価格」を決定するようなことになってしまいました。
その当時も一応「マーケットインで値付けしよう」などと言っていましたが実際のプライシングにおいて、「お客様はいくらでその物件を買いたいだろう?」とは真剣に考えていませんでした。

もちろん、そんな積み上げ算はそうそう成立しないわけで、マーケットの中でお客様がいくらで買いたいと思うのかを見るようになりました。
しかし、本当に手頃な価格で商品を提供しようという考えにまではなかなか到達できませんでした。
理由はシンプルで、中古マンションの場合、立地によって価格の大部分が決定しますから、それをリノベーションして再販する立場では「安く提供する」余地がとても少ないためです。

コスト積み上げ型でプライシングしないまでも、結局、なかなか「お買い得な」商品を作ることができない。
このジレンマを克服するための戦いに日夜挑んでいるのが現在のACSだと思っています。
少なくとも新築マンションや中古戸建よりは格段に安い。そして、首都圏内でもアクセスが良く(主要駅まで30分以内)、望まれるだけの十分な広さと部屋数があり、日照条件も申し分がない。もちろん、行き届いた設備更新が行われ現代風のデザインが施されている。
そうした物件を2880万円の一律価格で販売するのが理想だと思っています。

中古マンションの再販は全くもって小売業だと思います。
一つ一つがバラバラで、一律的に値付けができないという不動産の特性は痛いほどわかっていますが、小売発想から見れば、まずお客様が望む価格から決定されてしかりだと思います。
そんなことで、いまACSは、まず最初にお客様への提供価格から考えるサプライヤーを目指しています。