二匹目のドジョウ | 丸の内で働く社長のフロク Powered by アメブロ

二匹目のドジョウ

何事も油断は禁物だと思います。
と言いながら、毎度油断してしまう私です。
このGW中半分仕事、少しゆっくりのスケジュールだったのですが、そのGW半ばに風邪を引き、一時的に良くなったと思ったら、こじらせてGWが終わっても尚本調子ではないという有様です。

最近はトレーニングもそれなりにやっているし体調には自信があり、一冬健康に過ごしていたので、夏も近づこうというこのタイミングで風邪を引くとは思いもよりませんでした。
さて、そんな油断や予断がビジネスに与える影響について触れたいと思います。

中古マンションをリノベーションして再販するACSでは、「二匹目のドジョウ」に気を付けろが合言葉になっています。
一度、成功した物件(マンション)をもう一度取り組むときには、とりわけ注意深く投資せよという考えです。

マンションの相場はみなさんもご存知の通り、世の中に相当出回っています。
ネットの普及がプロが持つ情報と一般消費者が持つ情報を同レベルにしてしまいました。
(これについては、ものすごく奥行きがあるので、また機会をもらいたいと思います。ネットの登場によって一見相場観は一般消費者にもわかるようになっていますが、実のところ、プロにしかわからない情報も数多く残っています)

それゆえに、物件ごとの価値算定はものすごく繊細です。
おまけに中古マンションの再販は薄利なので、少しの間違いが大きな損失につながるというとんでもないリスクが待っています。

ということは、一度成功したマンションというのは、どんなコミュニティで、いかなる特色があり、どのようなお客様が検討してくださるのかわかっているという点で、とてつもなくアドバンテージのある状態で査定ができます。
ところが、これがまた、大きな落とし穴になってしまいます。

マンションの住戸は二つとして同じ条件のものはありません。
(それが査定を難しくする要因の一つになっています)
一度成功したマンションの場合、その実績住戸と検討対象住戸を比較すれば容易に査定できるわけで、経験のないマンションよりも結論は早く導き出せてしまうわけです。
この早い結論が禁物で、前回成功した時に経験した特殊な要因をバリューから差し引かないことが多いのです。

たとえば、前回成功した時には複数のお客様から強い引き合いをもらっていたとします。
この場合、二度目の検討の際には、「このマンションは人気だ」という先入観を作りやすくします。
もちろん、人気だというのはいいことですが、その物件を買えるお客様は一人しかいないわけで(これがまた難しいポイント)、同時に複数が検討する場合、「見えない購入競争」が起きている可能性があります。

この見えない競争によって、あるお客様が検討を急ぎ、すんなりと購入する。
表面的には、単にすんなり決まったということだけですが、そこにはお客様どうしの見えない競争原理の働きがあったかもしれないわけです。

これが、二匹目のドジョウになってしまいます。
二度目も同じような競争状態で検討してもらえるとは限りません。
一匹目がすんなりいったために、甘い態度で取り組み、見事にしくじるというわけです。

失敗体験を引きずりすぎてもいけませんが、成功体験を信じすぎてもいけない。
事業というのは難しいものです。