相場と無縁であろうといコンセプト(続き) | 丸の内で働く社長のフロク Powered by アメブロ

相場と無縁であろうといコンセプト(続き)

EDLPという小売りにおける標語はもうずいぶん古びた印象があります。
everyday low price。
ずいぶんと昔から、いろんな企業がそれを掲げ、目指しました。

ところが、最近、そうした企業がめっきり減っているように思います。
「良いものをいつでも安く」の精神は日本のマーケットではすたれてしまったのでしょうか?
あるいは、魅力のあるアプローチとは言えないということでしょうか?
それとも、あまりにも一般化したコンセプトであるがゆえに、語るまでもないということなのか、このあたりが私にもよくわからなくなっています。

最近たしかに給料が上がる、ベア復活と言った「いい話」を耳にするようになりました。
しかし、それでも、日本で生活する者にとっての先行きへの不安はぬぐえていないと思います。
ここのところ詳細なデータは見ていませんが、日本で生活する者たちの給料は全平均で見れば上がってはいないはずです。
株が上がる、資産が上がる……そうした効果を享受できる層はごく一部でしかありません。
やはり、二極化(中間層が消えていく)の傾向は変わっていないのではないでしょうか。

だからこそ、安定した価格でモノが供給されてしかるべきと私は思います。
それは住宅(とりわけ「中古マンション」)にも当てはまると思うのですがどうでしょうか?
住宅を資産ではなく「生活必需品」として捉えれば、わかりやすいはずです。

前回、ACSが「どのように街を選定しているか」を書きました。
今回はどのように「もの選び」しているかについて「生活必需品」供給者の視点で説明させてもらいます。
ACSでは2K3Hの「もの選び」を大原則においています。

2Kとは「価格」「距離」(通勤先・通学先への距離・時間、駅からの距離・時間)。
3Hとは「陽当たり」「広さ」「部屋の数」です。
一等はじめに、「価格」が出るのは、消費者の意識がそこに強く働いていることをデータでも、現場実感でも確認できているからです。
なによりも「買える価格」「ほしい価格」(つまりは安定した価格)で提供することが供給者には求められているのです。

それ以外の「距離」「陽当たり」「広さ」「部屋の数」にもお客様が望む典型像がしっかり存在していますが、なによりもやはり価格が大事だと私は捉えています。
そして、供給者として「価格」のコントロールが一番難しいといえます。
他の4つの要素は多少妥協する余地がありますが、価格だけは譲れません。
それは常にお客様が望む価格でなければならないのです。

ところが、当初ACSは、自分たちが供給できる価格でものを見ていました。
もちろん、当時もそんな意識はありません。相場を見ていましたし、取引事例を穴が開くほど見ていましたので。
でも、それはお客様が望む価格ではありませんでした。
いったいお客様はその物件をいくらで買いたいだろう? この極めて素朴な解をどう導き出すかがカギでした。

つまり、その価格で提供しようと考えると、自ずと物件のスペックが決まってくるようになったのです。
そこでおもしろい現象にも気づきました。
それは、同じマンションで専有面積の「狭い部屋」が「広い部屋」よりも理論上高く査定されるべきという結論が生まれ始めました。
もちろん、理論上ではありますが、価格を詰めて考えていくと、どうしてもそうなってしまう事態でした。
時間になりました。また、続きを書かせてください。