新築と中古〜その価格差からの脱却 | 丸の内で働く社長のフロク Powered by アメブロ

新築と中古〜その価格差からの脱却

中古マンション流通が今後ますます成長するだろうという仮説はこの事業を手がける以前から持っていました。
実際、日本のマーケットは少子高齢化しているし、これからも新しいものを作り続けるわけにはいかない。
マンションの構造は昭和後半から平成前半にかけてほぼ確立し、長期安定的に居住することができることも、その後知りました。
さらに、平成前半以降、居住面積に対する顧客ニーズは満たされていて、現在ストックとなっている平成築以降の中古マンションは構造上十分な広さを有しています。

そうなると、内装が更新されて、最新の設備が投入されたリノベーションマンションが新築と比較して安価ならば、中古リノベーションが選ばれて当然だろうと考えました。
では、新築と対比してどの程度安価なら、消費者は中古リノベーションを選ぶのでしょうか?
みなさんはいったいどのくらい安ければ中古マンションを選びますか?

これに対する初期段階の答えは「3割の差」でした。
リクルートの調査で消費者が中古を選ぶ価格差は「3割」と出ていたのが根拠です。
しかし、これは随分と雑なまとめで、果たして築年数で何年差までなら3割差でいいのか、逆に去年分譲された「新古」であっても3割差なのかなど、法則としては大味すぎて実際の投資にはあまり役に立ちません。

一般的には、新築マンションは積み上げ算で価格が決まっていて、実際の相場観を無視する傾向があります。
乱暴に言うと、中古相場を見て、新築マンションの価格を決めるデベロッパーはないということです。
つまり、新築は買った瞬間に安くなるというのが基本原則です。
(しかし、それと逆行する現象が10年に一度くらい起こる。そういうタイミングで買うとキャピタルゲインが得られたりするので話がややこしくなってきます)

この新築との価格差はなかなか明確なロジックが見いだせないまま今日まで過ごしています。
もしかしたら、新築との価格差を議論していること自体が不毛ではないだろうかと考えるようにもなっていきました。
新築との比較から脱却する。
それがいまのACSの立ち位置になろうとしています。

これは、相場変動に影響を受けない住宅供給を目指そうとするコンセプトとも一致する概念です。
相場に強く影響を受ける新築マンションと比較しないということは、相場から遠い場所で住宅を供給するということにもつながります。
つまり、ACSでは新築マンションや戸建てを購入検討対象にはおかず、あくまで中古マンションこそ購入対象だと強く決めているお客様にこそ、商品を提供していくべきだと考えています。
(もちろん、新築と両にらみで検討していただくお客様を排除することはありません)

そう規定することで、ACSの取り組みは明確さを増しました。
新築を選ばない方に供給する商品ですから、そのエリアで、同じような価格帯の新築MSや戸建てがあってはなりません。
ですから、ACSが手がけるエリアには、新築が存在しない(あるいは少ない)ことが条件になってきました。
裏返せば、そのエリアに住みたい人にとって非常に有益な選択肢を提供できるということです。
ところが、(もうお気付きの通り)そんな条件を並べていて、事業継続できるのかという壁に突き当たることになっていきました。